タイトル:「FRMS」2ポ−ル・BPF特性比較 File-002 Back
「FRMS」を使って、2ポ−ルTypeのバンドパスフィルタ−(以下、BPF)の特性を、取ってみました。
「受信機の、TOPフィルタ−は大切だ」と、よく言われますが、一般にはFCZコイルか、トロイダルコア−使用の2ポ−ル型が
多いようです。しかし、フィルタ−としての特性につきましては、あまりお目にかかることは有りません。そこで、今回は「FRMS」
を使用して、フィルタ−の構成の違いによる特性の変化を測定してみました。
*比較したBPFは、次の条件に合わせましたが、すべてそのようになっている訳では有りません。*
・周波数は、14MHz用としました。
・帯域は、設計できる物につきましては、13.8MHz−14.5MHz(BW=700KHz)としました。
・使用したコイルは、マイクロインダクタ−、10Kタイプボビンに手巻き、の2種類です。
「FRMS」で測定した、各タイプのバンドパスフィルタ−の特性。(画面をクリックすると大きくなります。)
1)タイプ1 ・・ 標準的な2ポ−ルタイプの物です。コイルには、マイクロインダクタ−を使用しました。
良く使われているタイプです。C結合なので、高い周波数の減衰特性が、悪くなっています。−3db帯域は、約500KHzと
設計値に近い値です。通過ロスも、−4db程度と一般的な値です。コイルに、トロイダルコア−を使用すれば、スカ−ト特性
や通過ロスが、もう少し改善されると思います。受信機のTOPフィルタ−としては、十分使用できます。しかし、送信
機への
使用は,スプリアスの点から、2組のフィルタ−を直列に使用するなど、工夫した方がスプリアスに対して有利かも知れません。
2)タイプ2 ・・ 上記のBPFの、真ん中の結合コンデンサ−を、直列共振回路に置き換えた物です。
上記のタイプのBPFの結合部を、直列共振回路にした物です。定数はアバウトに決めました。このような回路は、メ−カ−が
良く使用しますが、アマチュアでは使用例が少なく、参考になる資料が乏しいです。スカ−ト特性の傾向は、上記の物とあまり
変わりませんが、多少悪くなったようです。帯域も広くなりましたが、通過帯域内の特性が、心なし平坦になったような気がしま
す。部品が増える割には特性に特徴が無いので、製作するには標準タイプの物が良いと思います。
3)タイプ3 ・・ 2ポ−ルタイプ。10Kボビン使用、入出力はタップを使用。
10K型のボビンに、FCZコイルに準じて巻きました。タップに位置は、アバウトですが一応、1:5位で決めました。
スカ−ト特性の、高い方と低い方が、同じ様な減衰特性になりました。送信機には、良さそうです。
通過ロスが−10db程とかなり有りますが、結合コンデンサ−をもう少し大きくすれば、多少は改善されそうです。
一番の欠点は、コイル製作の難しさです。ただしファイトがある人には、小型に出来ますので、おすすめです。
4)タイプ4 ・・ 2ポ−ルタイプ。直列同調回路2個シリ−ズ変形タイプ。マイクロインダクタ−使用。
この一件変わったBPFは、友人から教えていただきました。真ん中に有るインダクタ−(この場合0.68uH)の値を
変えることにより、左辺と右辺の結合度を変えることが、出来るとのふれこみです。(これは、実験していません)
特性は、可とも不可とも言えない特性です。通過帯域も1MHz位有り、FCZコイルで作った物と、変わりが有りません
トロイダリコア−などを使用して製作すれば、多少は帯域が狭くなるかも知れません。通過ロスは、低い方です。
4種類のBPFに付いて、特性を見てきましたが、受信機のTopフィルタ−には、標準的な2ポ−ルタイプのBPFが、一番良いように
思います。現在の受信機の設計思想からすると、フィルタ−まではあまりゲインを持たせないような設計になりますが、S/Nの点か
ら見て、通過ロスが大きなファクタ−を、しめるような気がします。(高IPで、25db位のプリアンプが有れば別ですが・・。)
またスカ−ト特性ですが、2ポ−ルの物ではこれぐらいが限度で、もう少し良くしたい場合は、多段にするか別のアプロ−チを考えな
ければなりません。一番大切なのは、作り易さだと、思います。特性は良いが、複雑で部品の入手に難が有るような設計は、私個人
は、あまり好きでは有りません。
結果的には、「何−だ!。」と、思われるかも知れませんが、「FRMS」を使用して、特性を目で見られた事は、大変有意義だったと
言えます。 2002/2 ©CYTEC
「トロイダルコア−活用百科」に沿って作ったソフトです。無いよりはマシと、笑える人のみダウンロ−ドして下さい。hi
2ポ−ルタイプ・バンドパスフィルタ−の簡易設計は・・ 2Pole_BPF.exe をダウンロ−ドする。
Back ©CYTEC 2002/2